団地の新しい見方 住宅都市整理公団

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今回は「住宅都市整理公団」の総裁こと大山さんを迎えました。
 前半のトークは大山さんによる団地の解説。時折写真撮影時のエピソードなど交えながら、独特の視点での団地鑑賞術を披露していきました。一種シニカルな語り口からは一見どうでもよさそうな団地、どこにでもありそうな団地の魅力がビミョーにあぶりだされていました。
 後半はディスカッション。大山さんのスタンスをあらわしていると思ったのは、次のようなやりとり。「大山さん自身は団地に住んでいるのですか」「団地は住むものじゃない、見るものだ」「世の中、好きか嫌いかで分けられるものではない。でもどちらでもないけど“気になる”ものはある」
 好き/嫌いをベースにおかないで淡々と見つめていく、その姿勢は建物の陰影や人物、生活臭などが丁寧に取り除かれた大山さんの団地写真からも読み取れます。それは「物語を派生させない」ためだからと言います。
 昨今、景観の話題が多く語られていますがその語り口は、これがいい景観、これが悪い景観と決めてかかっている感があります。大山さんはこう言います。「田んぼが広がる風景は現代人にとって自然を感じる風景だけど、稲作が始まる前の縄文時代の人にとっては『人工的な』風景だったに違いない」
 最初からいい/悪いのストーリーを決めて物事を見てしまうとある種のトラップにはまる危険性があります。そう考えると前提を取り払って淡々と観察することはとても大切なことかもしれません。大山さんの観察眼のベースになっているのはそういうスタンスなのかなと。そんな観察術を鍛えれば世界はもっと面白おかしく見えてくるでしょう。(吉永)

大山顕さんのウェブサイト「住宅都市整理公団」
http://danchidanchi.jp/

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