人が使いこなしたくなる外部空間とはどういう空間か? マゾヒスティックランドスケープ

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 街づくりの提案をするために、シンポジウムや展覧会を開き、その結果、本までこぎつけた例として、studio-Lの山崎亮さんをゲストにお迎えしました。
 ハガキホルダーにポストカードを入れた都市再生の提案書「環濠生活」が驚きの体裁ですが中身は骨太。180ページにわたる都市再生の提案書であり、大阪府堺市の環濠地区の生活空間を再生するための「[tcy]14[/tcy]の提案」がこめられています。
 「環濠生活」をつくるきっかけは、堺市の道路課にかかってくる電話のエピソードから。「街路樹の落ち葉で家の前が汚れているから掃除しにきて欲しい」。どうして自宅前の落ち葉さえも他人に掃除させようとする人の住む街になってしまったのか。
 考えてもみなかった屋外生活を提案することで、その生活を支える空間が必要になる。それを提案すべきだと山崎さんたちは考え、活動資金もメンバーで出し合ったとか。その後の冊子「ランドスケープエクスプローラー」でもプロジェクトを本にまとめたことで、研究会の司会やイベントの企画運営に誘われ、本が名刺がわりになっていったと言います。
 後半は書籍「マゾヒスティックランドスケープ」の中身の話になり、彼らがどういった視線で風景を読み解いているのか一端を垣間見ることができました。ヤクルトおばさんの話は何回聞いても面白いです。午後3時に閉まる銀行の前にヤクルトのおばちゃんが来て、そこでずっとしゃべっていて、ほとんどヤクルトを売ってないという話です。まちの使いこなしが粋ですね。
 最後にこれまでのけんちくの手帖で取り上げた事例をもとに本にいたるまでの分析があり、特に「まちあるき」が原点のものが多い印象でした。(狩野)

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