さる、7月5日
architect's BAR~建築本つくりたい人集まれvol.20を開催しました。
今回は、戦後の集合住宅の中でも、
大阪市などの市街地への立地が特徴的な「市街地住宅」というものを
日々研究活動されている「大阪市街地研究会」のメンバーの方々に
お集まり頂き、その魅力を思う存分に語って頂きました。
メンバーは、大学の先生や住宅公団関係の方をはじめ、
実際に市街地住宅に住んでいる住民さんや、
不動産業を営む方などバラエティの富み、
ゲストとして起こし頂いた方は総勢9人!
市街地住宅をみて、まず最初に思うことは、
これって本当に団地?という意外感です。
一見するとまるでオフィスビルのようにスマートな外観が多く、
マンションのような派手さはありません。
また、住民の洗濯物が街路に丸見えとなっては、
まちの品格を損なう恐れがあるとして、
道路の面したバルコニーは作らず、
住民の生活感がまちに露出しないような意匠の工夫があったとか。
オフィスビルのようなスマートなファサードは
こういったまちへの配慮が生み出したかたちとも言えそうです。
さらに市街地住宅は戦後の市街地開発の中で
まちの不燃化を目指した「防火建築帯」の役割も果たしていました。
※防火建築帯の一つ、谷町九丁目の市街地住宅群
住まい手のニーズや価値観が変化してきている中、長屋や近代建築が見直され、
若い人などの居住希望が高まっているのと同様に、市街地住宅においても、
その立地性や意匠のディディールなどの良さが再評価されています。
ただ一方で、権利関係の他、耐震補強などの安全の問題もつきもので、
そうした建物の不動産評価は未だマイナス評価であることも現状です。
都市の住宅はもはや飽和状態にあり、
今後の住宅のあり方については、より柔軟な対応が求められます。
新たに住宅をつくるのか、それとも今ある住宅を活かすのか。
一口に保存・活用というと簡単ですが、その実現には、
住まい手側の需要をより大きな運動に盛り上げていくとともに、
不動産や住宅開発側の柔軟な理解も求めていくたゆまぬ努力も必要です。
建築から50年程建った現在でも、
市街地住宅から学べるまちづくりの視点が色々あると感じました。
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